パン屋の物件探しのリアル。田舎で起業するなら「市街化調整区域」に気を付けろ!

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パン職人。大学不登校→就活から逃避→「好きなことして生きる」とパン職人に→適応障害になりつつ5年間修行→店長を経験→28歳で鳥取にUターン。筑波大卒。




こんにちは。しょうたん(@v_shota_v)です。

突然ですが、「市街化調整区域」をご存知ですか?

コンセプトの話でも書いたように、僕が現在準備を進めている「パン工房ほとり」の名前には、鳥取県鳥取市にある湖山池の「ほとり」でパンを焼く、そして「鳥取をあなたのそばに」という意味を込めています。

しかし、その場所探しにおける最大の障壁が「市街化調整区域」でした。

 

市街化調整区域とは

「市街化調整区域」とは、都市計画法で定められた「市街化を抑制すべき区域」のこと。

ざっくり言うと、自由に建築などの開発行為が出来ない地域で、開発行為を行うには原則として都道府県知事の許可が必要になります。

 

この「市街化調整区域」で起きる問題の例として、次のようなものがあります。

  • 基本的に住宅を建てることが出来ない(厳しい条件がある)
  • 逆に「届出団地」というエリアでは住宅しか建てることが出来ない
  • 事業用の建物は「市街化調整区域」に住む人向けの日常生活に必要なものを売る商店なら、建てることが出来る

 

※ あくまで例なので、実際の細かな条件などは各自治体に問い合わせてみて下さい。鳥取市の場合はこちらが参考になります

 

何でこんな規制が必要かというと、街づくりの無秩序化を防ぐためらしい。街は街、田舎は田舎って分けておかないと、街の発展の妨げになるという考え方のようです。

だから、「市街化調整区域」は基本的に田舎です。田畑が広がっている農業地域だったり、山や湖の周辺だったりします。

しかし、この「市街化調整区域」が田舎で起業する上で障壁になる場合があるのです。

 

田舎の起業は「市街化調整区域」が障壁になる場合がある

さて、ここからは僕が「パン工房ほとり」の開業準備において「市街化調整区域」に悩まされているという、リアルな話を書いていきます。

鳥取県鳥取市にある日本最大の池、湖山池のほとりが僕の故郷です。実家も、幼少期に走り回った広場も、毎日学校に通った道も、湖山池のすぐそばにありました。

鳥取の魅力を多くの人にお届けする。だから、自分の愛した故郷で、生まれ育った土地でパンを焼きたい、そういった思いから「ほとり」の名前をつけました。

 

そんなわけで、湖山池のすぐそばで、というのが「ほとり」の場所探しの条件です。

しかしここで立ちはだかったのが「市街化調整区域」です。というのも、湖山池の周辺地域はそのほとんどが「市街化調整区域」だったんです。「市街化調整区域」は自由に開発行為が出来ませんので、当然パン工房を作るとなれば障壁となり得ます。

 

僕が引っかかったポイントとしては、次のようなものがあります。

  • 「届出団地」は住宅しか建てられない
  • 「市街化調整区域」はそもそも不動産取引が少ない
  • 「市街化調整区域」に建てられる建物には条件がある

 

「届出団地」は住宅しか建てられない

「市街化調整区域」の中に「届出団地」というものがあります。

この「届出団地」では、「市街化調整区域」の中で例外的に住宅の建設が認められています。しかし、住宅の建設は認められていても、事業用の建物は建てることが出来ないようです。

当初、「パン工房ほとり」は実家の空いている土地に小屋を建てて開業しようと考えていました。生まれ育った土地を大切にしたい。家族を大切にしたい。その願いを叶えるのに最適だと考えたからです。

しかし、この土地がまさに「届出団地」でした。建設会社さんに鳥取市に掛け合ってもらいましたが、どうにもこうにも建設の許可が下りず、泣く泣く他の場所を探すことになったのでした。

いざとなれば子どもを背負ってでもパンを焼く…くらいの環境を作りたいと思っていましたが、ルールはルール。どうにもなりませんでした。

 

「市街化調整区域」は不動産取引が少ない

さて、泣く泣く「届出団地」の土地を諦め、他の場所を探すことになった「パン工房ほとり」。知り合いに声をかけ、市役所に赴き、不動産会社でも探してもらうことになりました。

が、それも思うようにうまくいきませんでした。

そもそも「市街化調整区域」の不動産はほとんど取引されていません。なので、空き店舗はおろか、空き家すらなかなか見つかりませんでした。

古い民家を買う、もしくは借りることが出来るのなら、過疎地域の空き家問題への取り組みとして良いと思ったのですが、鳥取市や宅建協会(不動産会社を束ねる団体)の方に相談しても見つからず…。

「市街化調整区域」は田舎だし、しかも建築に制限が多いのだから、これは仕方のないことかもしれません。

結局、親戚の知り合いの方がたまたま地主さんで、そちらの方に土地を借りる方向で話を進めています。田舎だと不動産業者さんより人づての情報の方が当てになったりするものですね。

 

「市街化調整区域」に建てられる建物には条件がある

土地を借りることが出来ても、今度はそこに建物を建てられるかどうかが問題になります。

「市街化調整区域」に事業用の建物を建てる場合、「市街化調整区域」に住む人向けの日常生活に必要なものを売る商店であればならない、というルールがあります。

これに適合するかどうかを、また建築業者さんが市役所に逐一確認しながら進めなければいけません。

パン屋さんは基本的に日常生活に必要なものと判断されます。なので大丈夫。だけど問題になったのが、「市街化調整区域」に住む人向け、という部分。

 

詳細はこの資料に書かれてますが、ざっくり言うと次の要件を満たさないといけないようです。

  • 半径1km内の住宅の過半数が「市街化調整区域」である
  • 40戸以上が50m以内に連なる既存集落に敷地が繋がっている

 

これが…大変!建築業者さんに地図を探してもらうところから始まり、地図に土地から半径1kmの線を引き、その中の住宅の数を1つ1つ数える。

「市街化調整区域」の住宅がその他のエリアの住宅より多くないといけません。未だかつてこんなに真剣に地図と(そして住宅の数と)向き合ったことはあったでしょうか。ドキドキです。

しかもアパートやマンションは現地に赴かないと情報が無いので、車を走らせ実際に見に行って、戸数を数える。これは骨が折れます…。

最終的に、今回は何とか条件を満たし、やっと一歩前に進めそうです。よかった!

 

さいごに。「市街化調整区域」は必要?

さてさて、これだけ僕たちを悩ませてきた「市街化調整区域」。これって必要でしょうか。

僕は大好きな故郷で、生まれ育った土地でパンを焼きたくて、わざわざ首都圏からUターンしてきたんです。

田舎暮らしとか移住促進とか若者の活躍って言うなら、もうちょっと柔軟に対応してくれたっていいじゃないか。なんて思ってしまうのが正直なところ…。

いやでもきっと、僕は「まちづくり」に詳しいわけじゃないので、街全体のことを考えればきっと「市街化調整区域」が大きな役割を果たしているんだろうなあ、という想像は出来ます。

中心市街地を盛り上げることのが大事というのも感覚的に分かるし、税収にも大きく関わるんだろうし。うーん。

そんなヤキモキした気持ちにはなりましたが、ここに立ち向かうことが自分の役割だとは思っていません。詳しい人が考えてくれるはず。

自分に出来ることを。一歩一歩ひたむきに。やっていこうと思います。

最後までお読み頂きありがとうございました!