こんにちは。しょうたん(@v_shota_v)です。元パン屋店長です。
今回は「店長って何をすればいいの?」という方向けに、僕の実体験から必要だと感じた7つのポイントをまとめました。
なお、販売スタッフの仕事内容についてはこちらを参考にどうぞ。
また、製造スタッフの仕事内容については、こちらをどうぞ。
目次
店舗経営
店長は経営者
まず店長の仕事は店舗経営だと意識する必要があります。店長は経営者です。
なので、パン屋でいえばパン職人や販売員といったプレイヤーとしての能力は、必ずしも必要ありません。
当然、現場の状況によって必要になることも多いと思いますが、それよりも店長に求められる最大の能力は経営能力です。
自分自身がエースプレイヤーである必要はないのです。
店長はいわば監督。チームの方向性を示し、意思決定を下し、コミュニケーションをとりながらチームを目的に導くのが仕事です。
その経営のポイントをこのページでは解説しています。
意思決定
じゃあ、経営者の最大の仕事はなにか?それは意思決定でしょう。
意思決定とは、決めることです。判断することです。
店長は様々な場面でどちらにするか?という選択を迫られます。それを1つ1つ考え迅速に決めていくことが最大の仕事になります。
想像してみて下さい。会社の経営者である社長が意思決定をしなかったらどうでしょう?何も物事は進まず、またどちらに進んでよいのか皆困惑してしまいます。
お店も一緒です。店長がきちんと意思決定をしないと、お店の進むべき道が見えずチームがバラバラになってしまいます。
そしてその上では堂々と自信をもっていることも大事。自信のない人には皆ついて行きませんからね。
店長の仕事は、決めることです。
コミュニケーション
コミュニケーションの目的
コミュニケーションがなぜ必要か?それは、チームで仕事を円滑に進めるための手段として欠かせないからです。
チームで仕事をする場合、全ての仕事のベースはコミュニケーションです。周囲とのコミュニケーションが円滑に取れなければ、全ての仕事は上手くいきません。
そしてコミュニケーションの大前提は、相手を尊敬すること。相手がここに存在していることを尊重し、敬意を払い、認めることが出来なければ、コミュニケーションは始まりません。
相手の振る舞いは問題ではありません。人として生まれ、かけがえのない命を持ち、ただここに存在することを尊敬するのです。
尊敬からコミュニケーションが始まります。
日常のコミュニケーション
さて、店舗を経営していくうえでは、日常のコミュニケーションが大切です。なぜなら信頼関係の構築に必須だからです。
その代表例が挨拶や返事。明るい挨拶や返事が大切といわれるのは相手に敬意を払い、存在を認めていることを示すためです。
もっといえば、ここが居場所だと感じてもらい、安心してもらうためです。
また世間話も大切です。何も仕事をサボって長々と話をする必要はありません。さりげない会話で良いのです。天気の話でも今日のニュースでも、家族の話でも構いません。
こういった日常のコミュニケーションを1つ1つ積み重ねることで、信頼関係が構築されていきます。
面談
込み入った話をする上では、一人ひとりと面談の時間を作ることが大切です。
ここでのポイントは会話と傾聴を意識することです。
会話とは「話す」と「聴く」のバランスをとりながらキャッチボールをしていくこと。
傾聴は「とにかくよく聴く」ことです。
面談となると、思いを伝えようと一方的に話をしてしまう方が多いですが、それは間違いです。
なぜなら、人は自分の話を聴いてくれる相手を信用するから。自分の話を親身になって聴いてくれたら、誰だって嬉しいものです。
そのためにも、会話と傾聴を意識する必要があります。
また相手がどれだけ自分のことを素直に話してくれるかは、そのときの信頼関係によって変わってきます。
そのため日常のコミュニケーションを積み重ね、強い信頼関係を築くことが出来れば、いざ面談となったときに本心を打ち明けてくれることでしょう。
役割分担
役割分担の目的
役割分担の目的は、責任の所在を明確にすることです。
つまり、この仕事は誰が責任をもって進めているのか、を誰でも分かるようにはっきりさせることです。
役割分担をきちんと行うと誰が何をすれば良いかはっきりするため、仕事がスムーズに進むようになります。
お店の運営は一人では出来ませんのでチームを巻き込む力が必須になります。そのための手段として役割分担にぜひ取り組みましょう。
役割分担の手順
仕事を洗い出す。
まず、仕事を洗い出します。
お店を運営していく上で必要な仕事は何かよく考え、箇条書きにしていくのです。後になって増えたり減ったりするものなので、とりあえずで構いません。
担当者を決める。
そしてその箇条書きにした仕事に対して、担当者を決めていきます。例えば、予約の管理ならベテラン販売員のAさん、売り場のお掃除担当は新人アルバイトのBさん、といった具合です。
担当者は、その仕事についての責任者です。担当の仕事に対して責任をもって取り組んでもらいます。その仕事を全て自分で行うという意味ではなく、あくまで、責任の所在はあなたにありますよという意味です。
共有する。
最後に、役割分担を共有します。
具体的には見える化を行います。スタッフ一同がこのお店の役割分担はどうなっているのかが分かりやすく表示されるようにしましょう。
使用するのはホワイトボードでも紙でも、何でもかまいません。皆が理解できることが大切です。
そして最後に、その担当者本人が自分の取り組むべき仕事を意識できるよう、個別にコミュニケーションをとることで共有レベルを上げていきます。
ここまでくれば仕事はスムーズに進めることが出来ます。先ほどの例でいうと、予約の管理がうまくいっていないからAさんを中心にミーティングを開いて改善案を考え実行してもらう!、となるのです。
目的の共有と目標設定
店長の仕事として、目的の共有と目標設定があります。
目的と目標の違い
まず目的と目標の違いですが、
- 目的 = 何のためにするか?
- 目標 = どこまでするか?
になります。
混同しがちなので、まずはこれをはっきりとさせましょう。
目的の共有
店舗を経営する上で、まずは目的の共有が必要になります。
何のためにやっているのか分からない状態は、目的地の決まっていない船のようなもの。あっちでもない、こっちでもないと舵を取れず、大海原を彷徨い、いつかは沈んでしまいます。
自分で事業を始められた方は、この目的ありきで始めていらっしゃると思いますので、自分の思いをぜひ言葉にしましょう。更にはそれを文章に書き起こして見える化し、皆で共有することが大切です。
雇われ店長の方は、会社の経営理念やビジョン、ミッションがそれに当たると思います。店長の仕事はそれをきちんと理解しスタッフの皆と共有すること。会社の目的をお店の目的として浸透させていきましょう。
目標設定
次に目標設定です。
目標設定のポイントは以下のようになります。
目的に沿った目標を設定する。
目標は目的に沿っている必要があります。どんなに素晴らしい目標でも、目的に沿っていなければ意味がありません。
目標はあくまで目的を達成するための到達度を測るものです。
必ず、目標を設定したら目的に沿っているか確認しましょう。
目標は数字で示す。
目標は数字に示されるものが望ましいです。なぜなら、到達したかどうかが分からないから。
目標を達成できたかどうか分からなければ、そもそも目標を設定する意味がありません。
なので、数字で示すことが出来ない場合でも、達成できたかどうかがはっきり分かる目標を設定しましょう。
具体的な行動指針まで書き起こす。
目標達成のために必要な行動指針まで書き起こしましょう。
なぜなら、目的も目標も理解はしているけど、具体的にどう取り組んでいいか分からない!という状態に陥ることが多いからです。
そこを考えるのがまさに仕事なわけですが、お店には様々なスタッフがいるので、全て自分で考えろと丸投げしてもうまくいきません。丸投げしてうまくいくのなら、あなたは困っていません。
店長は具体的に行動指針まで書き出して見える化し、どういった行動が目標達成に繋がるのか皆に示す必要があります。
人材育成
人材育成の目的
人材育成の目的は、個々の能力を最大限に発揮させパフォーマンスを最大化することです。
一人ひとりが自分の可能性にチャレンジすることで、モチベーションを高く保つことが出来ます。
今持っている能力の高い低いに関わらず、一人ひとりにとっての成長を促すのがポイント。その人が今以上の自分を目指すことに意味があるんです。
それが結果として、チームの目標達成にもつながっていきます。
後継者を育てる
人材育成で店長が最も注力するべきは、後継者を育てることです。
後継者候補として二番手を指名し、その人の成長に注力します。
二番手には店舗経営の考え方や取り組む姿勢など、事細かに教え、自分がお店の代表であるという意識レベルで仕事をしてもらいます。
ようは、自分の分身を作るのです。二番手が自分と近いレベルまで成長すれば現場を完全に任せてしまうことも出来ます。
そうなれば自分自身は更に上のレベルを目指すことも出来るし、仕事の幅を広げることも出来ます。
人材育成の具体的手法
個人目標を設定する
まずは面談を行った上で、個人目標を設定します。出来れば中長期的なものと、短期的なものを両方設定すると良いでしょう。例えば年間目標と、月毎の目標ですね。
ここで大切なのが、本人が取り組みたいこととお店として求めるものをすり合わせることです。そのために、きちんと面談をする時間をとって目標を設定します。
また店舗目標と同じく、目標は達成したかどうかがはっきり判別できるものにする必要があります。なぜなら、達成したかどうか分からなければ本末転倒ですから。数字で表せればベターと思います。
定期的なフィードバック
目標を設定したら、あとは日々取り組むだけなのですが、合間で定期的にフィードバックを行うと良いです。
日々の忙しさに、自分の目標も忘れてしまう…、なんてのはよくあることです。
これを防ぐために、定期的に簡単な面談の時間を作ります。
例えば月毎にフィードバックを行うとして、
- 今月はどうだったか?
- 達成できたか、出来なかったか?
- 改善点はどこか?
- 来月の目標は?
といったことを話し合いながら整理します。
この時間を設けることで、目標設定を具体的に行動に移すことが出来るのです。
日々のコミュニケーション
また、日々のコミュニケーションの中でも目標を意識付けすることが出来ます。
通りすがりに「今日は目標に一歩でも近づけましたか?」とひとこと声をかけるだけでも、本人の中での目標への意識が大きく変わってきます。
このとき、「店長に声をかけられるの嫌だな。」と思われてしまうようであれば、信頼関係が築けていない証拠です。
そのために、日々の何気ない世間話が必要なのです。
問題解決
店長の大きな仕事の1つとして、仕事を作り出すことがあげられます。
仕事を作り出すことが出来なければ、生産とは呼べません。それは思考停止のただの作業。作業しか出来ないのであればお店は衰退していくばかりです。
じゃあ、どうやって仕事をつくるか?それは、問題解決です。
問題に気づく
問題解決のための一歩として、まずは問題に気づく必要があります。
問題に気づく、というと難しく聞こえるかもしれませんが、ようは困っていることや不満なことは何か、探すことです。
そのためには問いを持つこと。
- お客さんはお店に入ってから出るまで、何一つ不自由は無かっただろうか?
- アルバイトのあの子は、今日一日、何の不満も無かっただろうか?
- 私たちの提供している商品の魅力は、本当にお客さんに伝わっているだろうか?
このように常に問いを持っていれば、問題はいくらでも見えてくるはずです。
問題が見つかったら、早速解決しましょう!
問題解決のポイント
問題解決のポイントは、迅速なトライアンドエラーです。
とにかくやってみて、ダメなら改善したり、方向を修正する、というやり方です。日本語でいえば素早く試行錯誤を繰り返す、でしょうか。
PDCAサイクルを早く回す、ともいえますね。ようは、問題が解決出来るかどうかはとにかく行動することが大事なわけです。
もちろん問題は解決されないかもしれませんが、気にすることはありません。やらないことには結果が出ることはありません。行動するからこそ、新たな修正点や改善点が見つかり、次の行動に繋げることができます。
とにかく行動することが大事です。行動してみて、ダメなら修正する。1回や2回では解決しないのは当たり前です。それで解決していれば問題は起きていません。
だから、何度も何度も繰り返す必要があります。だからスピードが大事なんです。
一番ダメなのは、行動しないことです。
自己成長
お手本となる姿勢
店長はお店の中で他の誰よりも自己成長を望み、管理していかなくてはなりません。
なぜなら、店長がお手本になってこそ、周囲はついてくるのです。
必ずしも周囲より能力が高くなければならないわけではありません。人には必ず得意不得意があります。それを補っていくのがチームです。
大切なのは、常に謙虚に自己改善に努める姿勢です。
店長がこの姿勢を怠ってしまえば、周囲との信頼関係を築くことも出来ず、結果としてお店はうまくいかないでしょう。
時間管理
優秀な人は必ずと言っていいほど、時間管理が上手です。
多くの場合、店長はその見るべき範囲の広さに圧倒され、勉強の時間もとれず、問題解決も出来ず、コミュニケーションにも時間が割けない、そういった状況に陥りがちなのではないでしょうか。
非常によく分かります。私もその一人でした。
ですが、それはしょうがないことではないのです。時間の使い方次第で解決することが出来ます。
ポイント2つ、をご紹介します。
少しの隙間時間も逃さない。
少しの隙間時間も逃してはいけません。
時間が無いという人や、いつも忙しそうにしている人は大抵の場合、隙間時間を逃しています。
5分でも時間があれば何か1つ行動することが出来ます。
例えば「ここの片付けやらなきゃなあ…」とため息をついている暇があれば、どんどん片付ければ良いのです。
そのためには、自分のやるべきことを常に整理整頓することが大事です。
頭の中で覚えられることはせいぜい3つまで。必要があればすぐに書き出して優先順位をつけ、隙間時間を作ることなく次から次へと仕事にとりかかりましょう。
何でも自分でやらない。
あなたが今やっている仕事、自分でやる必要があるでしょうか?
誰かに任せることは出来ませんか?
アルバイトの子でも出来る仕事ではないでしょうか?
よくあるのが、何でも自分でやってしまうパターンです。
自分でやった方がはやい、あの人に任せると仕事が雑だ、そういった気持ちが先行してしまい仕事を分担できないでいると、自分自身がやるべき仕事に取り組む時間を作り出すことは出来ません。
あなたの仕事は店舗経営です。それがあなたに与えられた役割であり、責任をもって取り組むべき仕事です。
自分でやる必要のない仕事に時間を使っていないでしょうか?
勉強する
自己成長のためには勉強が欠かせません。
本は読んでいますか?
最新の情報を仕入れていますか?
経済ニュースは?業界の動向は?
勉強することを辞めてしまえば、自らの視野を広げることは出来ません。
様々な知識や考え方を知り、自分の中に吸収していくことで、それが思考の引き出しとなります。
自分の考え方というのは、勉強を続けることで生み出されるものなのです。
そしてそこから生み出された、自分はこう思う、自分はこの考え方を信じる、こうやって生きたい!という思いは自信や信念へと変わり、わたしたちが前進していくための糧になります。
勉強しなければそこには衰退しか待っていません。
勉強しましょう。
まとめ
店長の仕事のポイントは以下の7点です。
- 店舗経営
- コミュニケーション
- 役割分担
- 目的の共有と目標設定
- 人材育成
- 問題解決
- 自己成長
もちろんこれらは追求すれば、もっと奥の深いものばかりです。
皆さんが勉強を続け、一歩でも二歩でもより良いお店づくりが出来ることを願っています。
ちょっとだけ筆者の話。
私が店長を任されたとき、右も左も分からず、何をすべきか全く見えない状態でした。
今まで店長を経験してきた先輩方からも、実践的なノウハウは継承されませんでした。
確かにgoogleで検索すれば、店長の仕事について解説は出てきます。しかし、そこにあるのは解説的な事柄が多く、具体的な実践ノウハウはあまり多くありません。
私は私なりに勉強し、考え、この記事に書いたようなことを実践してきました。
ですので、記事にあることは全て、私が現場で得た実体験から、必要だと思ったことをまとめたものです。
私と同じように初めて店長になって戸惑っている方。店長の仕事が分からず悩んでいる方。そういった方々の少しでも役に立ちたいと思いこの記事を書くことにしました。
解説的ではなく、より実践的なノウハウを少しでも提供できればと思います。
そして店長という仕事に真摯に向き合う皆さんにとって、少しでも助けになれば嬉しいです。
長々とお読み頂き、ありがとうございました!
【PR】パン・お菓子作りの材料・器具を買うなら【cotta】
パンやお菓子の材料を買おうと思っても、
- 近くに材料を売っているお店がない
- 100均やスーパーに売っている材料では物足りない
- 忙しくてわざわざ買いに行く時間がない
ということがあって、不便を感じている方も少なくないと思います。
実際、僕が住んでいるのも田舎なので、小さなパン屋を始めるにあたって本格的な材料が必要でしたが、良いお店が見つからず困っていました。
こういった不便を解消してくれるのが、プロも愛用!安心安全の材料と豊富な品揃えが自慢の【cotta】です。
cottaを利用すれば、
- 専門店で売っているような本格的な材料が手に入る
- 大容量で割安の材料が手に入る
- ショッピングモールや百貨店などを歩き回る必要がない
- 店舗まで買いに行く必要なく、自宅で受け取ることができる
- 条件を満たせば送料も格安
といった、たくさんのメリットがあります。
僕も実際に、パン屋さんの材料や器具を仕入れるのに使っていて本当におすすめなので、ぜひお試しください!