パンは塩で美味しくなる?パン作り基本の材料「塩」の役割を解説します。

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パン職人。1989年生まれ。鳥取県鳥取市出身。

筑波大学卒業後、茨城県のパン屋で修行し、店長を経験。その後、結婚を機にふるさとの鳥取にUターン。

クラウドファンディングで開業資金を集め、「パン工房ほとり」を開業。

パン職人専門オンラインサロン「パンと生きる」オーナー。Twitterも更新中。

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こんにちは。しょうたん(@v_shota_v)です。

今回はパン作りにおける塩の役割について、解説していきます。

 

食塩はパン作りに必須の基本材料

パンの基本材料は以下の4つです。

  • 小麦粉
  • イースト
  • 食塩

 

この4つはパン作りにおいて欠かすことが出来ない材料と言われています。なんと、食塩もここに入ってます!

 

でも、パン作りでは他にも多くの材料を使いますよね。

例えば、次のような材料。

  • 砂糖
  • 油脂
  • 牛乳
  • ナッツやレーズン

 

これらの材料はどれもパン作りによく使われますが、実はこれらが無くてもパンとして成立します。

 

というのも、先程述べた4つの基本材料だけで作られているのがバゲットやバタールを代表とするフランスパンなんです。

フランスパンは基本材料だけで作る、最もシンプルな基本のパン、というわけですね!

 

ちなみに、消費者庁のパン類品質表示基準には以下のような記載があります。

小麦粉又はこれに穀粉類を加えたものを主原料とし、これにイーストを加えたもの又はこれらに水、食塩、ぶどう等の果実、野菜、卵及びその加工品、砂糖類、食用油脂、乳及び乳製品等を加えたものを練り合わせ、発 酵させたもの(以下「パン生地」という。)を焼いたものであって、水分 が10%以上のもの。

引用:パン類品質表示基準

 

ざっくりいうと、小麦粉にイーストを加え、水、食塩、そして果実や卵を加えて練って発酵させて焼いたもの…。と書いてあります。

食塩が登場するのは4番目ですね。ここからも、食塩がパン作りに必須の材料ということが伺えそうです。

 

というわけで、今回はパン作りに置ける食塩について解説していきます。

 

  • なぜ食塩がパン作りに必須なのか?
  • どんな役割を果たしているのか?
  • パン作りで食塩の扱いで気をつけるところは?

 

これらが気になる方は、最後までお付き合いいただければと思います!

 

パン作りにおける食塩の役割

さて、これまでのお話でパン作りに食塩が必須ということをお分かり頂けたと思います。

次は、食塩の役割について解説していきます。

 

パン作りにおける食塩の役割は、以下の3つです。

  • 味をつける
  • 生地を引き締める
  • 殺菌効果

 

食塩の役割① パンに味をつける

最も大きな役割が、「パンに味をつける」です。

 

これって案外見落としがちなんですが、間違いなく一番大事です。

塩なしのパンは、悲しくなるくらい味がしません。

 

というのもパンの味は塩が土台になっていて、それにその他の材料(砂糖やバター、発酵の風味など)が加わってパンとしての味を成り立たせてるんですね。

だから、塩が入っていないと味の土台が無いので、いくらその他の材料が沢山入っていても味が薄く全く美味しくないパンになってしまいます。

 

なので、パンを作るときに塩を入れ忘れてしまうと、それはもう悲しい気持ちになります。

生地を作るところから焼きあがるまで約5時間、一生懸命作ったパンが全く美味しくない…、こんな悲しいことはありません。

 

というわけで、パン作りにおいて塩の最大の役割は「パンに味をつける」です。

皆さんくれぐれも食塩を入れ忘れないようにしましょう。

 

食塩の役割② 生地を引き締める

2つ目の役割は、「生地を引き締める」です。

 

これは、パン作り初心者の方には少し分かりづらいかもしれませんが、食塩が入っていないパン生地はベタベタしていて締りのない生地になります。

違う言い方をすれば、コシの弱い生地ダレた生地とも言うことが出来ますね。

 

なので食塩の入っていないパン生地を扱おうとすると、普段の生地と触り心地や発酵の具合、生地の伸び方なんかが違ってくるんですよね。

パン作りの上級者になると、生地を触っただけで「何かおかしいな?」と違和感を感じ、味見をして塩が入っていないことに気づくようになります。

 

食塩の入っていない生地はコシが弱いので、焼き上がりも当然ボリュームが出づらく、ペタッとした見た目になります。

ほとんど味がしないので全然美味しくない上に、見た目も悪いというわけです。

 

ちなみに、この「生地を引き締める」という特性を利用した、後塩法というパン作りの製法もあります。

こちらは後半で解説していきますね〜。

 

食塩の役割③ 殺菌効果

3つ目の役割は、「殺菌効果」です。

 

食塩に殺菌効果があることは多くの方がご存知と思いますが、パンにおいては腐敗を遅らせるという意味よりも、もっと大きな意味があります。

それは、パンを膨らませるイースト(パン酵母)を殺菌してしまう、ということ。

 

食塩が入っていないパン生地の場合、パンの腐敗についてあまり考えなくても問題ありません。

なぜなら、食塩が入っていない時点でほとんど味がしないので、長持ちするかどうかを考える以前にそもそも食べることが出来ないほどに美味しくないからです。

いくら味の濃い具材を挟んだサンドイッチやフレンチトーストやクロックムッシュといった料理にしたとしても、パンそのものが悲しいくらい味がしないので、少々無理があると思います。

 

というわけで、パンの腐敗に関してはあまり気にしなくて良いのですが、食塩の殺菌効果の影響を受けちゃいけない材料がありますよね。

そう、イースト(パン酵母)です。

 

ただこれも、材料として混ざってしまえば食塩がイーストを殺菌してしまうということは殆どありません。

ので、食塩には「殺菌効果」があるけど、普通に作る分には殆ど気にしなくて良い、と覚えておきましょう。

 

食塩の扱い方や注意点

それでは、パン作りで実際に食塩を扱う際の注意点や製法を見ていきましょう〜。

以下の4点を解説していきます。

  • 正確に量る
  • イーストと密着させない
  • パン生地の味見
  • 後塩法

 

正確に量る

まず第一に、食塩は分量通り「正確に量る」ことが大切です。

 

なぜなら、食塩はパンの味の土台ですからね。正確に量らないと味が薄かったり、味が濃すぎて塩辛かったりと、生地の味がめちゃくちゃになってしまいます。

 

また、生地を引き締める効果もあるので捏ね具合や生地の伸び具合、発酵の進み方も通常のものとは違ってきます。

なので、食塩に限らず、分量通り「正確に量る」ことは非常に大切なのです。

 

正確に量るには0.1g単位で量れるはかりが必須になります。

ちなみに僕が家で使っているのはこちら

 

少々値は張りますが、パン作りする方は1つ持っておいても損はないと思います。

 

イースト(パン酵母)と密着させない

次に、先程の「殺菌効果」で説明した通り、食塩とイースト(パン酵母)を密着させないことが大切です。

なぜなら、食塩の「殺菌効果」によってイーストの発酵力が弱まってしまうから。

 

これは、段取り上手の方のが引っかかりやすいですね。

というのも、あらかじめ量った材料を同じボウルに長時間入れておく場合に起きやすいのです。

 

対策としては、次のような方法が挙げられます。

  • 量った材料は違う容器に入れる
  • 同じ容器に入れる場合は、容器の中でも離れた場所に入れる

 

これらは、パン屋さんの職人なら皆当たり前のようにやっていることですね。

「パンの膨らみが悪い気がする…。もしかして食塩が原因かも?」という方は、是非お試しください〜。

 

パン生地の味見

続きまして、「パン生地の味見」です。

何と言ってもパン作りの塩の扱いにおいては、塩の入れ忘れを防ぐことが最も重要です。

 

味見をすると、塩が入っているかどうか分かります。

だって、味の土台である塩が入っていないということは、ほとんど味がしないわけですからね。

 

ただし、味見をしても分からない場合があります。それは、塩の分量が少しだけ異なる場合。

こうなると味見をしても塩が正確な分量で入っているのかほとんど分かりません。

 

まして、塩が少なければ塩を足す、少なければ他の材料を足す必要がありますが、どれだけ足して良いのか分かりません。

記憶を辿ろうと思っても、一度正しいと思って量ったものを思い出すのはなかなか難しいものなんです。

 

そのためにもまずは、「正確に量る」。

そして、入れたかどうかをチェックするために「パン生地の味見」を欠かさないようにしていきましょう。

 

後塩法

最後に塩に関するパンの製法について少し触れたいと思います。

その名も「後塩法」です。読み方は「こうえんほう」とか「あとじおほう」と言います。

 

このパンの製法は、パン生地を捏ねるときに最初は食塩を入れず、生地がある程度まとまってから食塩を入れる製法です。

後塩法でパンを作る最大のメリットは、捏ね時間が短くなるところ。

 

塩を生地作りの後半で入れることによって、塩の生地を引き締める効果が働く前にグルテンを多く作って生地を繋げていきます。

生地を引き締める効果が無い状態なので、パン生地は切れづらく、無理なくつながっていきます。

その結果として、生地を捏ねる時間が短くなるというわけです。

 

パン屋さんで働いたことのある方はご存知と思いますが、パン屋さんは一日に大量にパンを焼くので少しでも1つ1つの作業時間を短くしたいのが本音だと思います。

長時間労働で職人が疲弊してしまっては元も子もないですから…。

 

ちなみにこの製法は多くの場合、フランスパンやカンパーニュといったハード系の生地で用いられることが多いです。

今回は長くなってしまうので、それについてはまた別の記事で詳しく解説しようと思います。

 

パン作りにおすすめの塩

さて、それではパン作りをする上で、どんな塩を使うのが良いのでしょう。

この点に関しては職人によって考え方の差が非常に大きい部分だと思いますので、ここでは僕の考えを述べようと思います。

 

僕がパン作りにおすすめの塩は、いたって普通の食塩です。 

なぜなら、塩はパンの味の土台だから。

 

塩が入っていないと食べ物として大変味気なく、食べきるのも困難なほどに美味しくありません。ですが、塩そのものの味はあくまでも土台。

実際に食べる時はジャムやバターをつけたり、菓子パンならつぶあんやクリームがセットだったり、また食事パンでもスープや他の料理と一緒に食べることがほとんどです。

 

なので、パン生地そのものの味としての塩は主張することもなく、最低限のベースとして普通の塩味があれば良いというのが僕の考えです。

 

 

トッピングやハード系のパンなら他の塩もアリ

もちろん、トッピングとしての塩ならゲランドの塩や岩塩といった、ミネラルが豊富な塩の方が美味しいと思います。

 

また、フランスパンやカンパーニュのような塩の味こそがパンの味そのものになるパンに関しても、ゲランドの塩や岩塩を使うのは良いと思います。

 

ただし、こういったミネラルが豊富な塩を使う場合は、普通の食塩を使うよりも少し多めに入れましょう。

なぜなら、普通の食塩と比べるとナトリウム含有量が少ないので塩味が薄くなってしまうし、生地を引き締める効果も弱くなるので、生地のコシや発酵の具合に影響するからです。

 

 

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