天然酵母は身体に良い?パン作り基本材料「イースト」と「天然酵母」の違いについて。

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パン職人・ブロガー。就職活動の満員電車で生き方に違和感を感じ「好きなことして生きる」とパン職人に。約5年勤めたパン屋を脱サラし、現在は鳥取を中心にフリーランスとして活動中。本名は吉田翔太。 お問い合わせ、質問、ご依頼等は各種SNSにて承りますm(_ _)m




こんにちは。しょうたん(@v_shota_v)です。

店長時代、「天然酵母のパンって無いんですか?」といった質問をお客様から頂くことがよくありました。

 

その質問自体は何も問題はないのですが、「天然酵母って何となく身体に良さそうだから…」といったイメージ戦略が先行してしまっていて、天然酵母がどういったものなのか理解されていない現状があるように思います。

というわけで、今回は「天然酵母」についてのお話。

 

天然酵母とイーストの違い

画像にまとめたものをTwitterで発信しました。

 

見づらい方は以下をどうぞ。(同じ内容です。)

天然酵母 イースト
酵母 野生の様々な酵母 製パンに適した単一の酵母
培養 職人が培養
市販品も存在する
工業的に培養
発酵力 弱い 強い
取り扱い 手間と時間がかかる 簡単
風味 複雑で芳醇な香り シンプルなアルコールの香り
食感 重くてどっしり ソフトで滑らか
健康 影響なし(焼くと死ぬ) 影響なし(焼くと死ぬ)

 

※ 天然酵母とイーストを併用する場合や、市販品の天然酵母を使用する場合でも、「天然酵母パン」として販売されていることが多いので注意が必要です。

※ 製法や技術によっては、この通りではない場合があります。

 

イメージ戦略ありきの「天然酵母パン」に注意

「天然酵母」と聞いて、良いイメージを持っている方が多いと思います。「人工」は悪で「天然」は善というイメージ、なんとな〜くありますよね。

天然モノの寒ブリとかって聞くと、何となく美味しそうですもん…。

 

しかし、上の表を見て下さった皆さんはお分かりの通り、「天然酵母パン」を謳っていても実際はイーストを併用していたり、市販品の天然酵母を使って簡略化している場合が多くあります。

「天然酵母」のイメージの良さを利用して、お客さんにアピールしているわけです。パン屋さんも商売ですので、生き残るための販売戦略としては当然のことと思います。

でもやはりパン職人としては、正しい情報を皆さんに知った上で商品を選んで欲しいと思うのです。

 

ちなみに、イースト天然酵母と併用するのも立派な製法の1つです。

お互いの良いところを取り入れることが出来るので、複雑で奥行きのある風味と、イーストの発酵力によるソフトでボリュームのあるパンを両立することが出来ます。

また市販品の天然酵母が悪いというわけではありません。

天然酵母を培養し管理するのは大変な手間と時間をかける必要があるため、手軽に天然酵母を使用できるというメリットは職人にとっても大きなものです。

 

ここで僕が言いたいのは、「天然酵母ってなんとな〜く身体に良さそうだよね」というイメージを利用して商売しようとしている人がいる。

そしてそれが悪いわけじゃないんだけど、皆さんには正しい知識を持って自分にとって価値のあるものを選択してほしい、ということです。

 

天然酵母パンの価値とは?

さて、天然酵母パンがイーストのパンに品質で勝っているかと言われると、そうとは言い切れません。

むしろ、天然酵母のみで発酵させているパンはその発酵力の弱さから口溶けが悪く重たいパンになりがちで、一般受けしない傾向にあると思います。

柔らかくてフワフワのパンが好き、という方が多いですからね。

 

じゃあ「イースト」のパンではなく「天然酵母」のパンを選ぶ理由は何でしょうか?

「天然酵母」にはどんな価値があるのでしょうか?

 

それは、「自然と調和をして生きる」という考え方です。

 

「天然酵母」は自然に存在する様々な酵母です。人工的に培養した「イースト」との最大の違いはここにあります。

であれば、「自然と調和して生きるという考え方」に共感できるのであれば、「イースト」のパンではなく「天然酵母」のパンを選ぶ理由があるんじゃないでしょうか。

 

僕の故郷である鳥取のタルマーリーさんはその考え方によって、多くのファンを獲得しています。

(詳しくはタルマーリーさんのオーナー、渡邉格さんの著書「田舎のパン屋が見つけた「腐る経済」」をご覧下さい。)

 

▼渡邉格さんの著書

 

天然酵母のパンの価値はこういった「自然と調和して生きるという考え方」にあり、それに共感した方が価値を見出し選択するものだと思っています。

この記事を読んで下さった方が少しでも、「天然酵母」について理解が深まれば嬉しいです。