予約制のパン屋をオープンしてから1ヶ月、今どんな感じかお話します。

ABOUTこの記事をかいた人

パン職人。1989年生まれ。鳥取県鳥取市出身。

筑波大学卒業後、茨城県のパン屋で修行し、店長を経験。その後、結婚を機にふるさとの鳥取にUターン。

クラウドファンディングで開業資金を集め、「パン工房ほとり」を開業。

Twitterやってます。

(パンの購入はこちら)




こんにちは。しょうたんこと、吉田翔太です。(@v_shota_v)

先月11月10日に、パン工房ほとりをオープンしました。

公式サイト:https://hotori.tottori.jp

関連記事:【お知らせ】パン工房ほとり 2018.11.10 オープンします。

 

パン工房ほとりは予約制なのですが、オープンから一ヶ月経った今、感じていることを書いていきます。

 

そもそもなぜ予約制か?

 

パン工房ほとりが予約制を採っているのは、パン業界の諸問題に一石を投じるためです。

諸問題とは具体的にいうと、次の2つを想定しています。

  • 廃棄問題
  • 長時間労働問題

 

廃棄問題:一般的なパン屋さんではたくさんパンを捨てている

一般的なパン屋さんでは、売れ残りは一部を除いてそのほとんどを廃棄します。

実体験として売上の3-5%くらいは廃棄にまわるので、1日の売り上げが10万円のお店なら、3,000-5,000円くらいは廃棄というイメージです。(当然、お店によって差があります。)

閉店間際に来てくださったお客さんに喜んでほしい、少しでも売り上げを伸ばしたい、そういった気持ちがあってのことですが、一生懸命作ってパンを毎日たくさん捨てるのは、なんとも耐え難いことです。

 

長時間労働問題:パン屋さんは100時間を超える残業も当たり前

それに併せて、パン屋さんの長時間労働問題は深刻です。

残業100時間以上というのは当たり前だし、修行だからなどと理由をつけて残業代が出ないケースもかなり多いです。

そもそも、個人店などの場合はタイムカード自体が無くて、何時間働いているのかも把握できていなかったりします。恐ろしい…。

 

朝早くから長時間の立ち仕事を必死にこなして焼いたパンを、毎日たくさん捨てる・・・これはどう考えてもおかしいでしょう!

という想いが強くなり、予約制にすれば少しでも問題提起ができないかと思い立ったのでした。

 

予約制のパン屋を1ヶ月経営してみてどうだったか

 

さて、実際に1ヶ月、経営してみてどうだったか。正直厳しいと言わざるを得ません。

この現状を見て、先輩方からは「綺麗事ばかり言ってるんじゃないよ!」と叱られそうです。

というのも、この記事を今書いていられるのも、予約が入っていないからなのです。現時点で、今週の予約は食パンが10本程度。

このまま予約が増えないとすれば、一週間で売り上げ5,000円ほどですから、どう考えても生きていけません。

(ちなみに、今月はありがたいことに大型のご予約を何件かいただき、それが先週に集中していたため、月間でみればなんとか生きていけそうです。)

 

最大の問題は、購入のハードルの高さ

実際に経営してみて感じている最大の問題は、購入のハードルの高さです。簡単にいえば、気軽に買えないということ。

だって、僕のお店、ふらっと来てもパン買えないんですもん。買えるのは今のところ、小麦粉とラスクだけ。

パン屋さんって、美容室とかみたいに意気込んで行くところじゃなくて、ふらっと寄ってみる、という感覚ですよね。だからもう、予約制というだけで、一気にハードルが高くなる。

 

そして、市街地ならともかく、僕のお店は田舎です。市街地の方がちょっと行こうという距離ではありません。鳥取の中心地から約10km離れていて、車で15分以上はかかります。

立地の面でも、お客さんにとって都合の悪い店なのです。

 

しかも、事前に予約しないとというだけでもハードルが高いのに、受付はインターネットのみ。

これは今現在、ほとんど一人で運営しているから電話受付は難しいと判断してのことですが、インターネットに抵抗がある方ってかなり多いんですね。

 

インターネット予約だと更ににハードルが高い

僕のパンはスーパーなどで売られているパンに比べれば大きさの割に高価なので、購入してくださる方の多くは50代以上、お金にも時間にも少し余裕が出てきた世代の方が多いのですが、そうなるとインターネットへの抵抗はさらに大きくなります。

実際、「娘にやってもらったの〜」なんてお話も何度か聞きました。

小学生の頃からインターネットに触れてきた僕たち20代の感覚とは、ここまでかけ離れているんだと、改めて思い知らされました。

 

看板を見て寄ってくださった方に、「予約制なので買えないんです…」と説明するのがほんとうに申し訳なくて、しかも「インターネットで〜」というと、難しい顔をされてしまう。

考えがあっての予約制なのですが、それはお店側の都合。

お客様目線で考える力が弱かった、想像力が足りなかったと、反省です。。

 

どうやって解決していくか

 

というわけで、今後どうしていくか、ですね。ここが一番大事。

今持っている考えとしては、次のようなものがあります。(全部一気にやろうというわけではないですが…)

  • 企画、新商品
  • イベント出店
  • 事業者さんとの取引
  • 飲食店営業の許可をとる
  • 予約制をやめる(その上で、廃棄が出ないように工夫する)
  • (通販をコツコツがんばる)

 

企画、新商品

リピートしてもらうのが大切だと思っています。代わり映えしないお店はすぐに飽きられてしまうので、そのために必要になるのが企画や新商品です。

12月であればクリスマス限定でバゲットを焼くとか、年始であれば福袋とか、そういった企画はリピートに繋がります。

また、新商品を打ち出すのも必要なことですね。

 

イベント出店

ありがたいことに、イベントに出ないか、といったお話をいくつか頂いています。ある程度まとめて売ることができるので、とてもありがたいです。

ただ、イベント出店は体力的にもかなり負担があるし、イベントが無いと食べていけない状況はかなり危ないと思うので、ここに頼るのは良くないと思っています。

 

事業者さんとの取引

こちらもありがたいことに、今月は2つの事業者さんから大型の受注をいただきました。こういった仕事を増やすことをできれば、生き残る道も見えてきそうです。

ただ、そういった営業活動はおそらく僕のいちばん苦手な分野なので、うーん…。いや、苦手とか言ってる場合じゃないのは分かっているのですが。

あと、大量生産(一日に100本以上とか)となると今の機器では正直なところしんどいです。ミキサーなんかはモーターが焼き切れてしまうんじゃないかと思うほど負荷がかかったりします。

 

飲食店経営の許可を取る

ドリンクや軽食を提供できるようになるし、サンドイッチのお弁当なんかも作れるようになる、かも、です。保健所に相談に行ったところ、パンを焼く時間帯と分ければ許可自体はいただけそうです。

ただ、これは仕事量的に人員が必要になる話なので、妻の状況にもよります。また、うちのお店は自宅なので、その場で食べてもらうにしても座席をどうするんだといった問題もあります。

庭で食べてもらおうかと思いましたが、冬なので現実的じゃないですね。。凍えます。

 

予約制をやめる(その上で、廃棄が出ないように工夫する)

いっそのこと予約制をやめるという手もあります。

予約制を採用しているのは、廃棄問題や長時間労働問題に取り組みたかったからなので、そこへのアプローチが別の方法であるのであれば、無理に予約制にこだわらなくてもいいかな、と思っています。

それこそ、カフェで使用できるようなパンだけを取り扱うお店にすれば、売れ残ったパンはカフェで使うことができるので、廃棄ゼロにできるかはわかりませんが、近づけることはできそうです。

 

さいごに

長々と書いてしまいました。

クラウドファンディングを通じてたくさんの方から応援いただき、オープンに至ったこのお店。なんとか軌道に載せたいと思っています。

上に書いているような策は、もう思いついてからある程度時間が経っているのですが、イベントやら大型の注文やら、なんだかんだ言い訳をして、なかなか進んでいません。

ご飯を食べているときと、寝ているときと、お風呂と歯磨きと、大河ドラマを見ているとき以外は、ずーーっと仕事のことを考えているのですが・・・いかんせん、行動力が、スピードが、体力が、足りません。

もともと行動力のある方ではなく、本来は自他ともに認めるのんびりマイペースな性格なのですが、この状況においてそんなことは言ってられない。

物事を進めるのが、遅い。遅すぎる。…悔しいです。

 

こんな僕ですが、今後もできることをやっていきます。

今後も応援いただけたら嬉しいです。よろしくお願いします!

最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。